「総合的健康美学論」は、当学会理事長である村山静江が三十有余年の間、研究、実践してきた「健康美」実現のための理論と技術を科学的・総合的に体系化したものです。
全3巻の内、「総合的健康美学論 第1巻」より総論編をご案内いたします。
| |
「総合的健康美学論」の目的
|
(1) 心身ともに健康であること
(2) 自分にしかない、固有美の真価に気づくこと
(3) そして、これらの維持・増進を図ること
(4) さらに、これらを実現するために、総合的な援助理論、および援助技法の確立を目指すこと
にあります。
つまり、総合的健康美学論とは「自己美の探究と、発見のための総合的、体系的な科学である」と言えます。 さらに、このような目的を達成するためには「健康美を支える7つの視点」に立って取組むことが重要です。
健康美を支える7つの視点 |
① 三つの美と、その恒常性 |
② 東西の理論と技術の融合 |
③ 心理学的アプローチによる内面からの美の探究 |
④ 健康美阻害要因「肥満」 |
⑤ 体質改善 |
⑥ 健康美を支える新たな視点:「酸化予防」のためのアプローチ |
⑦ 健康診断(メディカルチェック)の重要性 |
| |
健康美を支える 7 つの視点
|
「総合的健康美学論」の希求する健康美とは、健康美に必要不可欠な「3つの美」を安定的に維持することを目標として掲げています。そのためには、「東西の理論や技術を融合」させつつ、同時に今日あらゆる面で問われている「心理学的側面の強化」を図ることが重要であると考えています。
このような考え方に立ち、「成人病」や「生活習慣病」の主要な原因のみならず、「老化と健康美阻害要因の筆頭にあげられる肥満」、さらに、老化や癌などの主要原因として活性酸素の働きが解明される中で、「抗酸化対策」についても「健康美を支える新たな視点」として取り上げました。健康診断をはじめとする定期的なメディカルチェックは、健康美の維持増進の影の立て役者と言えます。本書では、メディカルチェックを健康及び健康美の双方向からの管理を進める上で重要なポイントとして位置付けています。
| |
健康と生体の恒常性
|
これらの健康美を支える、基本的、背景的な基盤となるのが生体の恒常性です。生体には、自律神経系、内分泌系、免疫系などが一体となり、常に身体の環境を快適な状態に維持する機構が備わっています。これは、生体の「恒常性の維持機構」と呼ばれています。病気とは、この恒常性の維持機構のバランスに問題が生じた状態をいいます。
| |
美の恒常性
|
本書では、生体に恒常性があるように、美にも恒常性があるとしています。「美の恒常性」とは、以下の3つの美によって支えられるものです。
|
(1)「真美」 |
・・・ |
その人だけの、その人特有の美しさであり、固有美・個性美など。 |
|
(2)「心美」 |
・・・ |
年齢や性別、立場や役割、それぞれの状況や場面などに応じた、人としての心の美しさや心のあり方。 「自己肯定感」や「自己有能感」などによって支えられるもの。 |
|
(3)「身美」 |
・・・ |
身体そのものの美しさ。容姿・スタイル・肥満度などから、肌の状態、さらに、細胞や血液、爪や髪の毛、歯などの素材の美しさも含まれる。 |
これらの「3つの美」のもつ新たな活力を引出し、気づき、さらに高めることが重要です。「3つの美」から与えられる「自信ややる気」は、「自己肯定感」や「自己有能感」へと成長します。これが本物の美しさであり、「美の真価」と言えます。
| |
総合的健美計画
|
総合的健康美学論の実践は、「総合的健美計画」によって行われます。計画の実施は「面接及び施術」、「3By3理論」、「宿題」などによって構成されます。
「面接及び施術」は、改善のための出発点、初期体験、目標管理などの場となります。「3By3理論」は、運動、栄養、心理のバランスを調整し、生体の「恒常性維持」に寄与します。「宿題」は、「面接及び施術」、「3By3理論」をつなぎ、改善の習慣化、維持の動機づけ、生活リズムの安定化などの基本となります。
「面接及び施術」、「3By3理論」、「宿題」などの状況を記録することによって、進行状況や過程を評価し、計画にフィードバックします。
| |
3 By 3 理論
|
総合的健康美学論の実践の初期目標は、「3By3理論」によって生体の恒常性を維持することです。
「3By3理論」とは、運動嫌い、過食・食習慣の乱れ、ストレスマネジメントなどを「運動・栄養・心理」の各面から、それぞれ3つの角度から3つの要素に重点をおいているため、「3By3理論」と名づけました。
運動は「安全性・継続性・効果性」、栄養は「適質・適量・適カロリー」、心理は「感情・思考・行動」などです。
「3By3理論」の実践によって、「自然治癒力・自力回復力」などの免疫機能が高まり、恒常性の維持を図ることが可能となります。
「生体の恒常性の維持」は、「美の恒常性の維持」の基盤となるものです。
| |
実施の最終段階
|
美の恒常性が維持されてきますと、改善のための指導から経過観察へと移行します。このように実施の最終段階では、現在までに改善された運動・栄養・食生活・ストレスマネジメントなどのリストを主とした、恒常性を定着させるためのメニューが準備されます。生活の中に、この「トリーティッド・カスタム・リスト(Treated Customs List)」(改善された習慣のリスト)を定着させることによってリバウンドを予防することができます。
このような「総合的健美計画」の実践の流れを支える「理論及び技術」の体系は第3巻にまとめられています。それではここで、それぞれの概要を簡単にご案内いたします。
| |
第 1 巻
|
第1巻には、「総論編」、「運動編」、「栄養および食生活編」などが収められています。
「総論編」は、本書の理論及び技術体系の概要を概説という形でまとめてあります。「運動編」では、運動の理論と実践を中心に、その基礎理論と段階的な実施について、また、「栄養および食生活編」では、栄養の基礎知識と食生活の改善のための実践的な指導法について述べています。
| |
第 2 巻
|
第2巻の「心理編」には、「総合的心理療法」と「カウンセリングシステム」がおさめられており、基礎カウンセリングや基本的な心理検査などの理論や技術について述べています。
| |
第 3 巻
|
第3巻の「技術編」には、「基礎知識」、「東洋医学の基礎理論」、「技術の実施と指導」などがおさめられています。
「基礎知識」では、国際健康美学士(International Health and Beauty Coordinator)に必要不可欠な基本的な知識として基礎衛生学や解剖生理学などについて、また、「東洋医学の基礎理論」では、東洋医学の中でも中核的な位置を占める中国伝統医学、いわゆる中医学の基礎を、さらに、「施術の実施と指導」では、施術法と生活指導を、実技の演習と宿題という形で述べています。
ここまで、総合的健康美学論の概要を簡単にご案内いたしました。
次号からは、「総合的健康美学論」を具体的にご紹介してまいりますので、どうぞご期待ください。