Ⅳ-5-3-1-1 食生活改善ポイント1:抗酸化の土台は「たんぱく質」
肉・魚・乳製品などの動物性たんぱく質や脂肪は、動脈硬化や高脂血症などの問題から、中年以降は控えることが望ましいという傾向が定着しています。しかし、たんぱく質は、身体の主要な構成要素として重要であるだけでなく、抵抗力や免疫力を高め、呼吸器系疾患の減少に寄与してきました。また、血管を強化して脳卒中の予防にも大きく貢献しています。
一方、活性酸素の問題がクローズアップされる現代では、たんぱく質は抗酸化物質や補酵素をつなぐ絆として、注目されています。まさに「抗酸化システムの土台」は、たんぱく質が主役です。100歳を超えても痴呆症状のほとんどみられない、いわゆる「かくしゃく老人」の食生活に、「肉や魚を好んで食べる」という共通点がみられることからも、十分ご理解いただけることでしょう。
有害な活性酸素に対抗するためには、身体の抵抗力や代謝能力を高め、抗酸化物質を支援することが重要です。そのためには、理想的な良質のたんぱく質の摂取が必要です。良質のたんぱく質を選択する基準として「プロテインスコア(タンパク価)」という指標があります。この指標のなかで100を示す食品が理想的なたんぱく質といえます。それらは、牛肉・豚肉・鶏肉・魚・卵・牛乳・ワカメなどです。
肉や魚のたんぱく質は良質ではありますが、やはり動物性脂肪のとり過ぎは、動脈硬化や高脂血症の原因となりかねません。動物性たんぱく質の摂取方法や摂取量についての留意点は、次の通りです。
(1) 脂身や脂質の多い鶏肉の皮は取り除く。
(2) 脂肪分の少ないものや赤身の肉を使用する。
(3) 湯せんなどで油やアクを除去したり、網焼きなどで油分をとばし除去する。
(4) 動物性たんぱく質の焼け焦げは、発がん物質が含まれるため摂取しない。
(5) 動物性たんぱく質の20%は魚で摂取するよう配慮する。
注)
「プロテインスコア(タンパク価)」は、たんぱく質の良質度を測る基準です。これは「国連食糧農業機関」が必須アミノ酸の理想的な配分を定めたもので、その配分比率をもとにして各種のたんぱく質の価値を評価し、指標にしたものです。