Ⅳ-5-3-1-2 食生活改善ポイント2:活性酸素を抑える脂肪の摂取方法
脂肪には、動物性脂肪の飽和脂肪酸と、植物性や青魚などに含まれる不飽和脂肪酸があります。動物性脂肪の飽和脂肪酸はカロリー、コレステロールがともに高く、動脈硬化や高脂血症の原因となるといわれています。植物性脂肪の不飽和脂肪酸はカロリー、コレステロールが比較的低いのですが、酸化しやすいという欠点があります。EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は、ともに魚の脂肪に含まれる不飽和脂肪酸です。血管の収縮を防ぎ血管を拡張し、中性脂肪の増加を防ぐなど、血流障害や炎症を防ぎ、血液をサラサラにする作用があります。EPAやDHAは、サバ・サンマ・イワシ・ニシン・ハマチ・ブリ・マグロ・マダイなどの魚類に多く含まれています。
しかし、EPAやDHAはともに不飽和脂肪酸ですから、酸化しやすいという欠点があります。したがって、不飽和脂肪酸を含んだ魚を食べるときには、新鮮なうちにできるだけ早く食べることが何より重要です。同時に、ビタミンE、ビタミンC、βカロテンなどの抗酸化物質を同時に摂取することも忘れてはなりません。
オレイン酸は、不飽和脂肪酸のなかでも比較的酸化しにくいものとして知られています。調理油など酸化しやすいものは、オレイン酸を多量に含むものを使用したいものです。オレイン酸を多く含む食品は、オリーブ油をはじめ、ゴマ油・ひまわり油・コーン油・米ぬか油・豚肉・牛肉・卵・ナッツ類などが知られています。
不飽和脂肪酸が酸化すると、過酸化脂質というフリーラジカルに変化します。スナック菓子やインスタントラーメンなどの油で揚げた加工食品、長時間もしくは長期間使ったンプラ油、マヨネーズやマグロの缶詰などはすべて不飽和脂肪酸を多量に含んでいます。したがって摂取時や使用時には、次のような習慣を身につける必要があります。
(1) | 製造日や賞味期限などの古いものは、買わない、食べない、保存しない。 |
(2) | スナック菓子などは、開封後は速やかに食べ、保存は避けるよう心がける。 一度に多量に食べない。 |
(3) | 油で揚げた加工食品を保存する場合には、①直射日光を避け、②冷暗所で、③空気との接触を避けるようにします。 |
(4) | テンプラ油などはできる限りそのつど処分し、保存や再使用をしない。 また、1日に摂取する総エネルギーの中に占める脂質の割合も、重要な要素となります。 |
一般的には、総エネルギーの20~25%を脂質、55~60%を糖質、15%をたんぱく質で摂するのが理想的といわれています。日本人の脂質のとり方については、「植物性脂質:動物性脂質:魚類の脂質」の割合を、それぞれ「 5:4:1 」の比率で摂取することが最も望ましいとされています。脂肪の過剰摂取対策には、食物繊維(Dietary Fiber)を同時に摂取することが効果的です。食物繊維は最近まで、人間が消化・吸収して利用できないため、栄養的に不要とされてきました。最近では、血中コレステロールの低下作用、肥満・糖尿病・便秘などの予防、カドミウム・水銀などの有害物質の体外排泄作用などが明らかになってきました。食物繊維は、緑黄色野菜に豊富に含まれています。