Ⅳ-5-2-7 ビタミンとスカベンジャー
ビタミンは重要な栄養素であると同時に、酵素系のスカベンジャーの後方支援を行い、ときには、自ら活性酸素に立ち向かうスカベンジャーの主役を演じます。ビタミンには、ビタミンA・B群・C・D・E・Kなどがあります。
Ⅳ-5-2-7-1 ビタミンC(アスコルビン酸)
ビタミンC(アスコルビン酸)は、スーパーオキサイドラジカル・過酸化水素・一重項酸素などに対するスカベンジャーです。さらに、酸化したビタミンEや尿酸に電子を1つ与えて、それらを還元する後方支援の役割を果たします。ビタミンCが酸化してビタミンCラジカルになると、ビタミンB群のニコチン酸が、ビタミンCを還元します。またビタミンCは、風邪からがんまでの効用のみならず、免疫・解毒・ホルモン生成などにも深い関わりを持っています。
ビタミンCは水溶性であるため、通常は細胞の外側や細胞質、ミトコンドリア内の水分の中、細胞のまわりのリンパ液などに溶け込んでいます。
Ⅳ-5-2-7-2 天然のビタミンE(トコフェロール)
天然のビタミンE(トコフェロール)は、α、β、γ、δの4種類があります。α型ビタミンEが、最も抗酸化能力が高いとされています。ビタミンEは脂溶性で、カイロミクロンに結合して肝臓に運ばれ、肝細胞内で特定のたんぱく質と結合して全身に運ばれます。通常は、不飽和脂肪酸の多く含まれる細胞膜や核膜の中に溶け込んでいます。
スカベンジャーとして抗酸化力が高いのは、天然ビタミンEだけで、合成ビタミンEの抗酸化力は、天然ビタミンEの50%前後といわれています。ビタミンEは、酸化してビタミンEラジカルに変化しても、他から電子を奪う性質はないため、活性酸素の弊害は起こしません。