Ⅴ-3 検査結果の評価および対策「尿・便検査」
尿は腎臓で作られるため、尿の成分や尿中に含まれる細胞種類・形態を分析することにより、腎臓系の疾患を予測することができます。また、尿が腎臓を出た後の経路である膀胱・泌尿器などの疾患も尿検査の対象となります。その他、糖尿病の診断にも重要です。便検査は便の中に混じってくる少量の血液を検出する潜血検査や、寄生虫の卵や虫を検出する検査などがあります。生活習慣病や成人病などに関わる主な尿・便検査には、尿糖・尿タンパク・血尿・便潜血反応などがあります。
Ⅴ-3-1 「尿糖」の評価および対策
尿中に排泄される糖(グリコース)の値を測定して、糖尿病の予防や危険度を把握します。一般に尿糖が「+」であっても糖尿病の判断は難しいとされています。できるだけ早く空腹時の血糖値や、ブドウ糖負荷試験などの血糖検査を行う必要があります。
尿糖の評価の基準は、「-」は正常、「±」の場合でも血糖値が正常であれば問題はありません。継続的に「+」は異常とされます。尿糖および血糖値などから、糖尿病の疑いが強い場合の対策は、次の通りです。
(1) 食べ過ぎ飲み過ぎを控え、摂取カロリーの総量を抑えるよう留意すること
(2) 甘味を控え、肥満に注意すること
(3) ストレスをためないようにすること
(4) ウォーキングのような持続的な適度な(軽い)運動を続ける習慣をつけること
(5) 定期的に検査を行い経過を観察すること
Ⅴ-3-2 「尿タンパク」の評価および対策
血液中には、通常一定量のたんぱく質が含まれています。腎臓で血液が濾過されるときには、たんぱく質は再吸収され、尿中にはほとんど出てくることはありません。しかし、腎臓に問題や障害が起きていると、たんぱく質は再吸収されず、そのままが尿中に排泄されます。尿中に排泄されたたんぱく質を測定することによって、腎機能の状態を調べることができます。
評価の目安は、「-」は正常、「±」は、運動直後・入浴後または一過性の場合は正常、「+」が間欠的な状態の場合は境界域、「持続的なタンパク尿の場合および大量タンパク尿」の場合は異常となります。一般に「±」のほとんどは、問題のない場合が多いようです。しかし、高血圧やむくみ等の症状がみられる場合には、再検査を受ける必要があります。
腎機能に疑いが強い場合は再検査を受けると同時に、次のような対策が重要になります。
(1) 塩分の摂取を控えめにすること
(2) インスタント食品・レトルト食品など、加工食品の摂取を避けること
(3) カリウムを多く含む海藻・野菜・果物などを多めに摂取すること
(4) 定期的に検査を行い経過を観察すること