Ⅳ-4-11 不飽和脂肪酸と過酸化脂質
脂肪には、動物性の飽和脂肪酸と、植物性脂肪や青魚などに含まれる不飽和脂肪酸の2種があることは、よく知られているところです。不飽和脂肪酸は、ある程度の量を摂取する必要のある必須脂肪酸ですが、酸化して過酸化脂質になりやすいという欠点があります。過酸化脂質は、活性酸素がヒトの脂質と反応すると発生するものです。過酸化脂質は体外に排泄されにくいという特徴があり、細胞や臓器に残留し、老化を進行させ細胞内のDNAを傷つけます。別名「老化物質」とも呼ばれる凶悪な物質です。
ポテトチップスなどのスナック菓子類や、インスタント食品などの油で揚げた加工食品やテンプラ油などは、酸化しやすい食品ですから、取り扱いに注意を要します。不飽和脂肪酸を多く含む青魚などの調理には、薬味や臭い消しとして、ショウガがよく使われてきました。実は、ショウガに含まれるショウガオール・ジンゲロン・ジンゲロールなどの抗酸化物質が、重要な役割を果たしてきたことを見逃してはなりません。
またアトピー性皮膚炎の人は、不飽和脂肪酸を多く蓄えていることが多いとされています。そのため、活性酸素によって変化した過酸化脂質が角質層の保湿機能を弱めます。その結果、皮膚の乾燥状態が改善されず、症状の悪化が進むこととなります。窒素酸化物や硫黄酸化物などの排気ガスや、ほこりやダニ、内装材や塗料などの化学物質なども活性酸素と深い関係があり、アトピー性皮膚炎に悪い影響を与えています。