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「総合的健康美学論 その理論と展開 (第1巻)」 総論編

Ⅳ-5-3-1-3 食生活改善ポイント3:ビタミンは抗酸化システムの大黒柱

 たんぱく質を主要な成分として、体内で生成される酵素系のスカベンジャーの王様がSODなら、ビタミンは、体外から取り入れるスカベンジャーの大黒柱的存在といえます。なかでもビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、βカロテンなどがその代表的なものです。

 ビタミンB群はビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3(ナイアシン:主成分はニコチン酸)、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB13(オロチン酸)、ビタミンB15(パンガム酸)、葉酸、パントテン酸などがあります。ビタミンB群はすべて水溶性です。最大の欠点は熱に弱いことです。ビタミンB群のなかでもビタミンB2が活性酸素対策には最も重要です。ビタミンB2は一重項酸素に対する抗酸化物質であり、同時にグルタチオン還元酵素を活性化させます。ビタミンB2は、ヤツメウナギ・タラコ・カキ・牛レバー・鶏レバー・牛乳・チーズ・卵・干しシイタケ・小麦胚芽などに多く含まれています。また、1日当たりの摂取量は5~20gといわれています。

 ビタミンCは、スーパーオキサイドラジカル・過酸化水素・一重項酸素などに対する抗酸化物質であると同時に、酸化したビタミンEを還元し、スカベンジャーに復帰させます。また、免疫、解毒、ホルモンの再生など広汎な作用を持っています。ビタミンCは、パセリ・ブロッコリー・芽キャベツ・ピーマン・サツマイモ・シシトウ・コマツナ・ダイコンの葉・レモン・イチゴ・キウイ・柿・ミカン・モモなどに多く含まれます。ビタミンCは、ビタミンB群と同様に水溶性で、熱に弱い性質があります。ビタミンCの1日当たり摂取量は、50mg(レモン1個分程度)といわれています。

 ビタミンEは、ビタミンのなかでも最も抗酸化力の優れたものといわれています。ビタミンEは脂溶性で、細胞膜や核膜などの生体膜の中にあって、活性酸素を除去します。除去後はビタミンCなどによってスカベンジャーへと再生されるまで、自らラジカルとなって細胞の酸化を防ぎます。また不飽和脂肪酸が酸化して、過酸化脂質になることも防ぎます。このような強力な抗酸化作用に加えて、血行の促進やホルモンバランスの調整など幅広い作用を行っています。天然のビタミンEには、8種類のビタミンがあります。そのなかで、抗酸化物質として重要なものは、αおよびγ型の2種類で、α型が最も効果的といわれています。合成型ビタミンEは、天然型に比べて吸収されにくいため、効果はあまり期待できません。ビタミンE天然α型は、アーモンド・ヘーゼルナッツ・ピーナッツ・大豆油・ゴマ油・ヒマワリ油・大豆・小麦胚芽・オリーブ・ヒマワリの種・ポテトチップス・カツオ・マグロ・サバ・サンマ・アンコウの肝・タラコ・シシャモ・ウナギの蒲焼き・スルメ・ホウレン草・ブロッコリー・アスパラガス・そばなどに多く含まれています。ビタミンEの1日当たり摂取量は10mgといわれています。

 βカロテンのグループには、リコペン・ルテイン・クロセチン・アスタキサンチンなどがあります。βカロテンはビタミンAの前駆体としてもよく知られています。体内でビタミンAが不足するとビタミンAに変化します。βカロテンはビタミンEやビタミンCと同様に強力な抗酸化作用を持ち、老化やがんを予防しています。また脂溶性で熱に強いため、油で炒めることによって吸収が良くなります。多様な調理法に弾力的に対応できる栄養素として注目されています。βカロテンは、青ジソ・パセリ・ニンジン・カボチャ・シュンギク・コマツナ・セリ・ダイコンの葉・ニラ・ホウレン草・焼きのり・生ウニ・ワカメなどに多く含まれています。βカロテンの1日当たりの摂取量は15~30mg(ニンジン1~1.5本)といわれています。

 以上、抗酸化力の強い代表的なビタミンについて述べました。生活習慣病といわれる成人病から、肌や爪にいたるまで影響を与えている活性酸素に対抗するためには、従来の摂取量や摂取方法についての総合的な見直しが必要となります。この点については、「摂取方法とサプリメント」の項で述べます。
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