Ⅴ-2-3 「中性脂肪」の評価および対策
血液中の中性脂肪の測定によって、動脈硬化・高脂血症・膵炎などへと進む危険度が把握できます。食事や飲食の影響を受けやすい検査ですので、食後12時間以上経過してから採血することが重要です。中性脂肪は余分に取り過ぎたカロリーや飲酒が原因となっています。過剰なカロリーは皮下脂肪となって蓄えられます。その結果、肥満や脂肪肝、糖尿病や高血圧、さらには動脈硬化へと進む危険があります。成人男女の正常域の評価の目安は、「40~150mg/dl」とされています。「150mg/dl」以上の高値の場合には、次のような対策が基本となります。
(1) 脂肪は不飽和脂肪酸を中心に摂取するように心がけること
(2) 禁酒・禁煙を心がけること
(3) 食生活の改善とともに、ウォーキングのような軽い持続的な運動を行う習慣をつけること
(4) 定期的に血液検査を行い経過を観察すること
Ⅴ-2-4 「血糖」の評価および対策
血糖値検査は血液中のブドウ糖の量から糖の代謝機能を調べるものです。正常域と糖尿病域の中間の境界型の場合には、食生活をコントロールしながら、定期的に血糖値検査をすることが重要です。糖尿病域の場合には、インスリンが量的に不足する「インスリン依存型」か、インスリンの働きが低下している「インスリン非依存型」かを調べる必要があります。
評価のポイントは、静脈血の空腹時の血糖値が100以下で正常域、100~140未満を境界域、140以上で糖尿病域などといわれています。この他に、100gブドウ糖付加試験勧告値として、1時間後血糖や2時間後血糖などを調べることにより、より詳細な代謝機能を確認することができます。境界域や糖尿病域の対策の基本は、次の通りです。
(1) 食べ過ぎ、飲み過ぎなどカロリーオーバーに留意すること
(2) 飲酒はほどほどに、状況により控えるようにすること
(3) ストレスをためないようにすること
(4) ウォーキングなどの軽い持続的な運動を行う習慣をつけること
(5) 定期的に血液検査を行い経過を観察すること
Ⅴ-2-5 「尿酸」の評価および対策
血液中の尿酸値を測定することによって、痛風の予防や腎機能の働きを確認します。一般に女性は、性ホルモンの関係で男性より低い値を示す傾向があります。尿酸値が高値が続いても、自覚症状が出ないこともあります。一般に高尿酸値が続くと、血液が酸性に偏り痛風発作を起こします。放置しておくと腎機能障害へと進むことがありますので、注意を要します。尿酸値が正常域上限に達した場合は、早めの対策が必要となります。
評価の目安は、女性の場合 2.6~6.0mg(男性:3.5~7.5mg)が正常域、6.0mg(男性:7.5mg)以上で高尿酸血症となります。高尿酸値の対策のポイントは、次の通りです。
(1) 飲酒はほどほどに、状況により控えるようにすること
(2) 肉類・内臓・カニ・エビなど「プリン体」を多く含む食品の摂取を控えること
(3) 激しい運動を控えること
(4) 定期的に血液検査を行い経過を観察すること