Ⅳ-4 活性酸素の発生因子
活性酸素の原因物質や発生因子について、その特性の概略を解説します。
Ⅳ-4-1 農薬
農薬は、活性酸素の強力な酸化力による殺傷力を利用したものです。活性酸素を発生させることで、除草効果や殺虫効果をあげています。このように、農薬は作物を守るため有効ではあるものの、農業用水・地下水・土壌汚染や作物における残留農薬が問題となっています。とくに輸入野菜は基準が曖昧で、その影響が心配されています。
植物は光合成によってエネルギーを生成しますから、本来紫外線による活性酸素の影響を強く受けるはずですが、葉緑素などの独特の抗酸化システムによって、自らを防御しています。農薬や除草剤は、このような植物さえも破壊してしまう、強力な活性酸素を発生させる劇物であることに目を向ける必要があります。
こうした農薬は、微量でも体内に入ると、多量の活性酸素を発生させます。また体内に蓄積され濃縮されると、子孫にまで大きな影響を及ぼすこととなります。無農薬・低農薬・有機栽培の野菜や果物の摂取、また充分な洗浄の習慣が重要となります。
Ⅳ-4-2 食品添加物
食品添加物には、人工甘味料・合成着色料・合成保存料・合成糊料・酸化防止剤・発色剤・漂白剤などがあります。加工食品のほとんどに、これらの食品添加物が、何らかの形で使用されているものとして、対応することが肝要です。
ほとんどの食品添加物は化学合成物ですから、体内では異物として処理されることとなります。大部分は肝臓で、薬物代謝酵素の働きによって解毒されます。この過程で、多量の活性酸素が発生することが明らかになっています。
現代人は、食生活においても多様な利便性を享受するなかで、気づかぬうちに1日当たり70種類を超える人工の化学物質を口に入れています。そのたびに、私たちの白血球はそれらを異物とみなして、活性酸素を振りかけて闘っています。
インスタント食品やレトルト食品、缶詰やビン詰などの加工食品は、製造過程で加熱処理されるため、脂質やたんぱく質の酸化が起きている可能性が非常に高くなります。すなわち、製造過程の酸化と食品添加物の2重の活性酸素の影響を受けることとなります。