Ⅴ-3-5 「便潜血反応」の評価および対策
便潜血反応は、大便を採取して肉眼では見分けのつかない、消化器系の出血の有無を調べるものです。最近では、食物の影響を受けにくい「免疫法」による検査が一般的です。免疫法は人間のヘモグロビン(ヒトヘモグロビン)にだけ結びつく抗体を利用して行うものです。便に血液が混じったときに疑われる、疾患や障害の主なものは次の通りです。
(1) | 便に鮮血がついている場合は、痔・下部の大腸がん・ポリープなどが疑われます。 |
(2) | 便に赤黒い血が混じっている場合は、上部の大腸がん・ポリープ・潰瘍性大腸炎などが疑われます。 |
(3) | 便が黒いタール状になっている場合は、食道がん・胃がん・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・食道静脈瘤などが疑われます。 |
評価の目安は、陰性(-)であれば消化器系からの出血はないものと考えられます。陽性(+)の場合は、消化器系からの出血が疑われるため、X線検査や内視鏡検査などの精密検査を受けることとなります。同時に規則的な食習慣と、消化の良い食物の摂取に留意することが重要です。