Ⅳ-4-7 放射線、X線撮影、その他の電磁波など
電磁波は、その波長によって放射線・紫外線・可視光線・赤外線・電波などに分けられます。通常は紫外線より波長の長い電波を電磁波といいます。プルトニウムなどの放射性物質を浴びると、活性酸素のなかでも最も毒性の強いヒドロキシルラジカルが発生します。γ線やX線、紫外線などが身体を通過するとき、体内の細胞の水分を破壊して大量の活性酸素を発生させることがわかっています。このときDNAにも損傷を与えがんの原因になります。
したがって、同じ電磁波である電波も、細胞の中や外で同様に活性酸素を発生させる可能性は非常に高いものと考えられます。さらに、活性酸素が発生している状況の身体に電磁波が当たれば、活性酸素の作用が増幅されることは容易に想定されます。
年に1、2度の健康診断や検査のためのX線撮影は、問題はないと考えられますが、軽々にレントゲン・CT・MRIなどの撮影を受けることは望ましいことではありません。また、電化製品、OA機器、携帯電話などは、スイッチを入れた時点で電磁波を出しています。微力な電波であっても長時間浴び続けないことや、一定の距離を保つなどの配慮が必要となります。
Ⅳ-4-8 化学薬品
化学薬品のなかには、活性酸素の特性を有効利用しているものがかなりあります。例えば抗がん剤は、活性酸素を発生させ、その強力な酸化力でがん細胞を破壊・死滅させようとするものです。
上水道の殺菌・消毒に使われる塩素は、水に反応して次亜塩素酸に変化します。次亜塩素酸は、活性酸素の一種で、殺菌効力は優れています。また、漂白剤には次亜塩素酸が含まれ、活性酸素の働きによって漂白作用が現われます。
しかし次亜塩素酸の活性酸素は、脂質やたんぱく質を酸化させてしまいます。