Ⅳ-5-2 活性酸素とスカベンジャー
活性酸素が4種類あることについてはすでに述べました。それぞれの活性酸素には、その性格や特徴に応じたスカベンジャーが対応するシステムになっています。活性度の高い凶悪な活性酸素を、徐々に活性度の低い状態に変えながら分解を進めていきます。具体的には、まず最初に酵素系のスカベンジャーによってスーパーオキサイドラジカルと過酸化水素の活性を消去します。次にビタミンやミネラルなどの補酵素が作用して一重項酸素やハイドロキシルラジカルの活性を除去します。最終的に酸素と水に分解します。
Ⅳ-5-2-1 スーパーオキサイドラジカルに対するスカベンジャー
私たちの臓器や細胞は、休むことなく活動しています。そのエネルギーは細胞内のミトコンドリアで作られます。さまざまな臓器や細胞内でのエネルギー生成過程で、大量のスーパーオキサイドラジカルと呼ばれる活性酸素が発生することは、すでに述べました。
このスーパーオキサイドラジカルを消去するスカベンジャーが、SODと呼ばれる抗酸化酵素です。SODがスーパーオキサイドラジカルを一度の工程で無害化することはできません。SODは、まずスーパーオキサイドラジカルを過酸化水素と酸素に分解します。この過酸化水素は、活性酸素の1つですが、スーパーオキサイドラジカルに比べれば、その毒性はやや低いものとなっています。過酸化水素は、次の抗酸化酵素によって順番に消去され、最終的には、水にまで分解されることとなります。
スーパーオキサイドラジカルは、放置しておいても自然に過酸化水素に分解されます。しかし、過酸化水素に分解されるまでの間に周囲の細胞に多大な障害を与えます。SODは、自然な分解の約1万倍といわれる速効性で過酸化水素と水に分解します。
Ⅳ-5-2-2 過酸化水素に対するスカベンジャー
過酸化水素は、不対電子がなく、透過性が非常に高い物質です。そのため、細胞内に容易に侵入し、鉄や銅イオンと結合して、より毒性の高いハイドロキシルラジカルに変化します。また、スーパーオキサイドラジカルとも結合してハイドロキシルラジカルや一重項酸素に変化します。
したがって、過酸化水素は、不対電子を持っていませんが、立派な活性酸素です。過酸化水素は、SOD・グルタチオンぺルオキシターゼ・カタラーゼなどによって活性が消去されます。カタラーゼは、血液中に多く含まれる酵素の一種です。