Ⅲ-6-1-2 健美体操
健美体操は、前項の健美ストレッチングの5つの効果と同じものが期待できます。さらに3つの目的を持っています。
第1の目的は、肥満に対して食事療法のみで対処すると、必ずといっていいくらい、停滞期に遭遇します。これは、運動量に変更がなく摂取量が制限されると基礎代謝が低下する時期が訪れます。この影響が停滞現象となって現われます。しかし、継続的・習慣的に運動を続けると、たとえ軽度の運動であっても、基礎的な代謝量は増加します。したがって、停滞期を予防もしくは、短縮することが可能となります。
第2の目的は、健美体操のプログラムのなかには、身体各部の基礎体力を養成しながら、主要な部分の張りやつやなどを強化・増進するためのメニューが盛り込まれています。
第3の目的は、健康的で活き活きとした「立ち居振る舞い方」の基本が学べます。健美ストレッチングと組み合わせることで、基礎体力、基礎代謝の改善および表現力などが身につきます。
健美体操の具体的な内容・実践指導などについては、各論(運動編)で詳細に述べます。
Ⅲ-6-1-3 ステップアップ・ウォーキング
ステップアップ・ウォーキングは、全身持久力的有酸素運動によって、生活習慣病などに対する、体質改善を行うためのメインメニューです。初級・中級・上級へと、文字通りステップアップしながら進みます。
ウォーキングの具体的な効果・内容・実践指導などについては、各論(運動編)で詳細に述べます。
Ⅲ-6-1-4 アイソメトリック・トレーニング
アイソメトリック・トレーニング(IT;Isometric Training)とは、1970年代にドイツの生理学者のヘティンガーによって提唱された筋肉トレーニング法で、「等尺性収縮」といわれるものです。静的収縮(Static contraction)と同義とされています。
アイソメトリック・トレーニングとは、関節などが動かないように固定した状態で等尺性の筋収縮を行うことによって、筋の能力を向上させようとするものです。一般に肥満解消には、ウォーキングなどによって、持久力に優れ、脂肪燃焼率の高い遅筋を鍛えることが優先されます。
しかし全身の筋肉のバランスを維持するためには、遅筋と速筋の双方を鍛えることが、基本となることは言うまでもありません。速筋は1日5~10分程度の、短時間の継続的な訓練によって使われていない筋肉が増加し、基礎代謝を上昇させることができます。また、遅筋と速筋のバランスの向上は、持久力と瞬発力の双方の向上を意味しています。具体的には、健美体操の各部の運動のなかに折り込まれています。