Ⅲ-3 理学施術法
理学施術法は、温熱施術法・赤外線施術法・機械的施術法・電子施術法などが主要なものです。
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温熱施術法 |
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乾熱を利用したものには赤外線やサウナなどがあり、湿熱を利用したものには、温浴・泥浴・気泡浴などがあります。いずれも表面熱を利用したものです。
表面熱に対して、深部熱(転換熱)を利用したものには、
(1)-1 マイクロ波(極超短波)
(1)-2 ウルトラ・ソニック(超音波)
などがあります。
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赤外線施術法 |
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セラミック素子を用いた遠赤外線により、約20分程度で、300ml の発汗が、安全に効果的に得られます。
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機械的施術法 |
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脊髄の矯正や背部の余分な脂肪を効果的に落とすため利用されます。
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電子施術法 |
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マイナス・イオンにより、血液の浄化や自律神経の調整、基礎代謝の改善をはかり、脂肪の分解を促進します。
パルス波や超音波などは、細胞をマッサージし基礎代謝を改善します。その他低周波、電波、マイクロ波など状況に合わせて適宜使用します。施術理論および実施基準については、各論「技術編」において詳細に述べます。
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Ⅲ-4 体質改善と停滞期
体質改善とは、「問題のある生活習慣をバランスとリズムのとれたものに修正していくこと」です。しかし、肥満に関わる体質改善のためのトレーニングは、一定期間経過すると、多くの場合、順調に進んでいた減量が、突然停止状態に陥ります。この現象を「停滞期」といいます。停滞期の始まりは個人差がありますが、通常、トレーニング開始後2、3週間の場合が多いようです。
私たちの身体は、太古の昔から何十万年もの間、「飢え」との闘いを強いられてきました。言い換えると、私たちの身体は「飢え」に対しての適応と進化の歴史であったといえます。具体的には、外部からのエネルギー摂取量が減少すると、身体の中では、エネルギーの節減やリストラクチャリングを駆使し、生存をかけて適応しようとします。
生命を維持するために必要な最小のエネルギー代謝を「基礎代謝」と呼んでいます。通常、仰臥の姿勢で安静にしている状態で、一定時間に消費する熱量で表します。年齢や性別によって大きく異なります。日本人の成人男子で1日1,400 kcal 、成人女子で1,200 kcal 前後といわれています。「基礎代謝」とはいっても、総エネルギーに占める割合は、かなりの部分を占めます。
正しい食習慣に修正することとはいえ、身体にとっては、摂取エネルギーが減少するという現実問題に対処しなければなりません。その結果、日常生活に使う消費エネルギーを節約するだけでなく、このような基礎代謝にいたるまで節約して適応することとなります。食習慣や食行動を修正することによって、摂取エネルギーを減らし、さらに、運動によって消費エネルギーを増加させるトレーニングを続けても、体内での一種の順応作用によってトレーニング効果が「帳消し」になってしまうことになります。これが「停滞期」のからくりです。停滞期は個人差がありますが、通常1~2週間で終わります。このような、「停滞期」についての認識がない場合、努力に対して効果が現われない状態が続きますので、挫折の大きな要因となります。したがって、「停滞期」とは、
(1) 正しい体質改善過程に現われる、身体の正常な反応であること
(2) 順調に体質改善が進行している1つのサインであること
(3) 体質改善は、「停滞期」が本格的なスタートラインであること
などについての理解が重要です。
また、体質改善初期は、食事療法を主体にして進めます。運動療法は、健美ストレッチングや健美体操程度に抑え、お腹がすくほどの強度の運動を勧めることは避けます。むしろ、停滞期頃から、ステップアップ・ウォーキングなどの運動を、総合的・本格的に加えると、「停滞期」が短縮されます。