Ⅴ-6 「画像検査1:X線」の評価および対策
X線による画像検査には、胸部X線検査・胃X線検査・マンモグラフィー(乳房X線検査)などが知られています。X線による画像検査によって、血液や尿などの検査だけでは把握できない、内臓疾患の位置・大きさなどを正確に把握することができます。
胸部X線検査は、肺炎や肺結核だけでなく、肺がん・気管支炎・肺気腫・胸膜炎、心臓関係では、心肥大・心拡大・胸部大動脈瘤の予防や経過観察などに大きく寄与しています。胸部X線検査によって異常が発見された場合には、胸部 CT 検査・気管支内視鏡検査・肺機能検査など、状況に応じて専門的な精密検査を受けることとなります。
胃X線検査は、造影剤(バリウム)を飲み、発泡剤によって胃をふくらませて撮影します。これを二重造影法と呼んでいます。この検査によって、食道・胃・十二指腸などの疾患が発見できます。具体的には、食道潰瘍・食道静脈瘤・食道がん・胃炎・胃潰瘍・胃がん・胃ポリープ・十二指腸潰瘍などの予防と経過観察に寄与しています。胃X線検査によって異常が発見された場合には、内視鏡検査や生検など精密検査を受けることとなります。
マンモグラフィー(乳房X線検査)は、乳房の触診でしこりなどの異常がある場合に、乳房をはさんだ状態でX線撮影を行い、がんかどうかを調べるための検査です。この検査によって、腫瘍の有無・大きさ・形状・石灰化の有無などが確認できます。乳がんの約50%は石灰化する傾向があります。マンモグラフィー(乳房X線検査)を行うことによって、5mm以下の石灰化したがん細胞も発見することができます。マンモグラフィーによって異常が発見された場合には、超音波・CTなどの画像検査や組織検査などを行うこととなります。
その他に大腸X線・腎盂(じんう)造影・卵管造影・気管支造影・頭部血管造影・胆道系造影などのX線検査によって、臓器の形状異常や腫瘍の有無などを確認することができます。