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「総合的健康美学論 その理論と展開 (第1巻)」 総論編

Ⅴ-2-9 「赤血球数(貧血・多血)」の評価および対策

 血液中の細胞を血球と呼び、血小板・白血球・赤血球の3種類があります。

 血小板は血管が傷ついた場合に、傷口をふさぎ出血を止める働きをしています。白血球は体外からの細菌・ウイルス・異物などを、抗体をつくり身体を守る免疫活動をしています。赤血球は肺から取り入れた酸素を全身の細胞まで運び、細胞から放出された二酸化炭素を肺に送り返す働きをしています。

 血液中の赤血球の数はおおむね一定に維持されています。「貧血」とは赤血球の数が少なくなり、酸素の輸送力が低下することによって、酸素が供給不足になる状態をいいます。逆に赤血球が多すぎる場合を「多血症」と呼びます。多血症は、血液が固まりやすくなるのが特徴で、脳硬塞や心筋梗塞の原因となります。

 評価の基準は女性の場合376~500万/μr(男性:427~570万/μr)が正常域となります。一般に350/μr以下になると貧血、正常域を超えると多血症の疑いがあります。貧血は、赤血球の中のヘモグロビン(血色素)が大きく関係しています。したがって、次項に述べるヘモグロビン量の検査を併用することが重要です。赤血球検査で、貧血や多血症の疑いが生じた場合の基本的な対策は次の通りです。

(1) 朝食抜きはやめ、1日3食、規則正しく食べる習慣をつけること
(2) レトルト食品やインスタント食品、清涼飲料水などを控え、食物から充分な栄養を摂取すること
(3) 睡眠不足に留意すること
(4) 定期的に血液検査を行い経過を観察すること


Ⅴ-2-10 「ヘモグロビン量(Hb)」の評価および対策

 ヘモグロビンは、赤血球の中で肺から取り入れた酸素を、全身の組織細胞に運ぶ働きをしています。ヘモグロビンは別名を血色素と呼ばれ、血液の赤色のもとになっています。ヘモグロビンは「へム」という色素と、「グロビン」というたんぱく質で構成されています。酸素の輸送は、「へム」の構成成分である鉄と結びついて行われます。したがって、鉄分が不足すると、ヘモグロビンが生成できなくなり、酸素の輸送に支障が生じます。

 ヘモグロビン量の評価の基準は、女性11.3~15.2mg/dl(男性:13.5~17.6mg/dl)の範囲が正常域、女性11.3mg/dl(男性:13.5mg/dl)以下で貧血となります。赤血球数の減少か、ヘモグロビン量が減少していれば、鉄欠乏性貧血・慢性疾患・消化器系のがんなどの疑いがあるので、専門医の指導で治療を受ける必要があります。一般的な対策は次の通りです。

(1) レバー・ヒジキ・豆腐・ホウレン草などの鉄分を含む食品を摂取すること
(2) 銅、たんぱく質、ビタミンA・B1・B2・B12・C、ナイアシン、葉酸などを摂取すること
(3) 塩分の摂取を控えめにすること
(4) 定期的に血液検査を行い経過を観察すること


Ⅴ-2-11 「アミラーゼ」の評価および対策

 アミラーゼは、デンプンなどの糖類を分解する消化酵素で、一般にはジアスターゼという名で知られています。アミラーゼの多くは膵臓から分泌される膵液と唾液に多く含まれています。したがって、唾液腺や膵臓に問題が起きると、アミラーゼが血液中に流れ込み、尿中に排泄されます。

 アミラーゼには、唾液腺から分泌される S 型(唾液腺型アミラーゼ)と膵臓から分泌する P 型(膵型アミラーゼ)の2種類があります。P 型は、S 型より尿中に排泄されやすい特徴があるので、血清中と尿中のアミラーゼのレベルを比較検討することが重要です。

 アミラーゼの検出法としては、酵素法が一般的です。酵素法による正常域の目安は、それぞれ血清アミラーゼが50~170 IU/r、尿中アミラーゼが160~1160 IU/rとなります。慢性膵炎や膵臓がんなどの場合には正常域の2~3倍、急性膵炎の場合には5~10倍に上昇します。

 この検査で正常域を超えた場合には、CT 検査や血管造影など精密検査を受け原因を究明することが重要です。一般的な対策は次の通りです。

(1) 大食を避けること
(2) 酒類を控えること
(3) 消化の良い食品を摂取するよう留意すること
(4) 規則的な食習慣を身につけること
(5) 定期的に血液・尿検査を行い経過を観察すること
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