Ⅴ-9 「画像検査4:CT・MRI・MRA」の評価および対策
CT・MRI・MRAなどの検査は、画像検査のなかでも最先端の技術を用いて、生体内部をさまざまな角度から画像に表すことができます。苦痛を与えることなく、短時間に多くの正確な情報が得られます。
CT 検査は、人体を輪切りにした状態で照射したX線を、コンピューターで分析し、横断面の状態を画像に表すものです。頭部 CT 検査、胸部 CT 検査、腹部CT 検査などがあります。
MRIは磁気共鳴映像法といわれるもので、CT 検査では輪切りにした情報しか得られませんが、MRIは縦・横・斜めなどの自由な断面から画像の情報が得られます。磁力を使うことによって、生体に影響を与えない点も見逃せない利点です。MRAは磁気共鳴血管撮影といわれるもので、静脈から造影剤を注入し、MRIの情報やデータをコンピューター処理して、血管だけを画像に写し出すことができます。MRIは、CTでは発見できないような、小さな梗塞なども画像化できます。MRAは動脈硬化の進行状態、梗塞の状態、動脈瘤の発見などの鮮明で詳細な画像情報が得られます。
Ⅴ-10 「心電図」の評価および対策
心臓の拍動のリズムは、右心房から出る電気信号によって行われています。
心電図は、この電気信号が増幅して記録したものです。心電図は心臓全体の働きを確認できるので、心臓病の発見・病状の把握・経過の観察などに重要な情報となります。その主なものは次の通りです。
(1) 心臓の収縮・拡張の状況
(2) 冠状動脈の血流の状態と動脈硬化の状況
(3) 心筋の異常
(4) 甲状腺機能障害などの内分泌疾患の心臓への影響度
(5) カルシウムやカリウムなどの電解質異常
心電図検査の評価の目安は、ときおり不整脈があっても、心肥大や狭心症などの症状がみられない場合は、「正常域」となります。不整脈・頻脈が散発的にみられるが、心肥大・狭心症・心筋梗塞などの徴候がない場合は、「要注意」となります。虚血性心疾患の徴候があり、病的な不整脈が頻発している場合には、心不全の危険が伴うので精密検査が必要になります。
心電図に異常が生じた場合の対策は、ただちに医師の指示に従い検査や治療を行うと同時に、次のような生活習慣の改善を行います。
(1) 禁煙すること
(2) アルコール類は控えること
(3) ストレスをためないよう留意すること
(4) 肥満を解消すること
(5) 睡眠など充分な休養をとること
Ⅴ-11 「コルポスコープ診(膣拡大鏡検査)」の評価および対策
コルポスコープ診は、婦人科系の主要な疾患に関係する検査として知られています。この検査は膣拡大鏡検査と呼ばれるもので、膣拡大鏡を膣内に挿入して、10~30倍に拡大して肉眼では見られない病変を発見するものです。
この検査は、子宮内膜症・子宮筋腫・子宮膣部びらん・子宮内膜炎・子宮頸管炎・膣炎・不妊症・子宮がんなどの早期発見や経過の観察に寄与しています。子宮の膣に出ている部分の粘膜や血管の変化などの観察結果と、組織細胞診を合わせて診断が進められます。