Ⅳ-4-3 タバコ
喫煙は、活性酸素を急激に増加させます。最初はスーパーオキシドラジカルを発生させます。次にスーパーオキシドラジカルは過酸化水素になり、煙の中の窒素酸化物と反応して、ハイドロキシルラジカルを発生して激しく肺を攻撃することとなります。
タバコの煙には、ニコチンやタールなどが含まれています。タールにはベンツピレン、ニトロソアミン、フェノールなどの発がん物質や、有害な窒素酸化物が含まれています。またタバコには、ビタミンCを破壊する作用が明らかになっています。
喫煙は、発がん物質や有害な窒素酸化物を体内に取り入れ、多量の活性酸素を発生させながら、活性酸素を抑える重要な抗酸化物質であるビタミンCを破壊していることになります。この意味で喫煙は、人体にとって三重悪といえる存在です。
Ⅳ-4-4 アルコール
アルコールは一般の食物や飲み物と異なり、胃や小腸で消化・吸収されません。胃や小腸の壁から直接血液に入り、肝臓へと運ばれます。肝臓では薬物を代謝(解毒)するさまざまな酵素中から「チトクロム P 450」を使ってアルコールを解毒します。この過程でアルコールは、アセトアルデヒドから酢酸へと分解され、多量の活性酸素が発生します。この化学反応の過程でエタノールはラジカルに変わります。
二日酔いなどの頭痛は、アセトアルデヒドが完全に分解されていないためです。これは肝臓が弱り機能の低下がみられたり、摂取量が解毒能力を超えた場合の症状です。ともあれこのアセトアルデヒドは、肝炎の原因の1つであることが明らかになっています。
肝臓では、このように薬物や毒物の解毒、栄養分の代謝や貯蔵、赤血球の分解と生成、胆汁の生成などさまざまな化学反応が絶えまなく起こっています。
そしてそのつど、活性酸素が多量に発生しています。余分な活性酸素の発生を抑える意味でも、ストレスや疲労の解消に効果のある、適量の飲酒を心がけることが重要です。