Ⅳ-5-3-1-4 食生活改善ポイント4:抗酸化力の目安は鮮明で濃い色と酸味・渋味・苦味
緑・黄・赤・黒など鮮明で濃い色の野菜にはビタミンEやβカロテンをはじめさまざまな抗酸化物質が豊富に含まれています。またレモン・赤ワイン・紅茶・緑茶・ウーロン茶などのように、酸味・渋味・苦味の強い食品にも抗酸化物質が豊富に含まれています。
ポリフェノールは植物の葉・花・茎などに豊富に含まれる植物の色素の総称です。水溶性の抗酸化物質で、フラボノイドと非フラボノイドに分けられ、数千種類にも及びます。なかでも強い抗酸化作用を持つポリフェノールの代表的なものとしてカテキン(タンニン)・アントシアニン・ケセルチン・イソフラボン・イソフムロンなどについて述べます。
お茶や赤ワインの渋味や苦味のもとはカテキン(タンニン)と呼ばれる抗酸化物質です。カテキンには血中のコレステロールを減少させる作用もあります。ビールの特有の苦味は、ホップの中のイソフムロンによるもので、麦芽とともに強い抗酸化力があります。アントシアンは、ブドウやブルーベリーなど植物の花や果実に含まれる赤色物質で、赤ワインには豊富に含まれています。ケセルチンは、玉ネギ・ブロッコリー・ジャガイモ・赤ワイン・紅茶・ココア・リンゴなどに多く含まれています。ケセルチンは冠動脈硬化・虚血性心疾患などを防ぐといわれています。イソフラボンは大豆に含まれるポリフェノールで、コレステロールを下げ、動脈硬化を予防します。大豆にはビタミンEも含まれるため、強力な抗酸化作用が期待できます。イチョウの緑色の葉には、フラボノイドの一種であるギンコライドと呼ばれる抗酸化物質が豊富に含まれています。ギンコライドは、血管を広げ血流を改善する作用があるため、痴呆症や脳血管障害に有効とされています。最近ヨーロッパでは、痴呆症や脳血管障害の特効薬として、イチョウの葉エキスは高い効果と、副作用のない安全性が注目を集めています。
カロテノイドは黄色・橙色・紫色などの色素に含まれ、植物から動物まで広く分布している脂溶性の抗酸化物質です。カロテノイドにはβカロテン・アスタキサンチン・リコペンなどがよく知られています。なかでもβカロテンはその代表的なもので、ニンジンやカボチャ・コマツナやブロッコリーなど、黄色・橙色・紫色・緑色など、いわゆる緑黄色野菜の色素に含まれる成分です。
βカロテンは肌の表皮部分の酸化を防ぎ、みずみずしさを維持するため、活性酸素と第一線で戦っています。これら色の濃い野菜には、ビタミンEも豊富に含まれています。エビ・カニ・サケ・イクラ・魚類の赤い皮などの赤みには、カロテノイドの一種であるアスタキサンチンという抗酸化物質が豊富に含まれています。トマトやスイカの赤い色は、カロテノイドの一種として抗酸化力の強いリコペンの色です。
このように、抗酸化物質が豊富に含まれる食品の目安として、「鮮明で濃い色と酸味・渋味・苦味」などの共通点に眼を向け、関心を持つことも、重要な「酸化予防のためのアプローチ」です。