Ⅳ-5-2-3 ハイドロキシルラジカルに対するスカベンジャー
スーパーオキサイドラジカルは、SODによって過酸化水素に変化することはすでに述べました。しかし、スーパーオキサイドラジカルは、体内のあらゆる場所で多量に発生しています。そのため、SODをはじめグルタチオンぺルオキシターゼ、カタラーゼなどのあらゆるスカベンジャーを投入しても完全に処理することは不可能です。
処理されなかったスーパーオキサイドラジカルや過酸化水素は、細胞内の鉄や銅イオンと結合して、毒性の強いハイドロキシルラジカルや一重項酸素に変化します。ハイドロキシルラジカルは、グルタチオンぺルオキシターゼおよびグルタチオン還元酵素などによって処理されます。このときビタミンE・βカロテン・フラボノイドなどの助けが必要となります。
フラボノイドとは植物の葉・花・根などに含まれる赤緑やクリーム色などの色素の総称で、約300種類に及びます。果実の皮や種などにも含まれ、活性酸素の攻撃を防御する抗酸化物質としての作用があります。
Ⅳ-5-2-4 一重項酸素に対するスカベンジャー
一重項酸素の生成には3つのパターンがあるといわれています。一重項酸素は、スーパーオキサイドラジカルと過酸化水素の反応や、スーパーオキサイドラジカルとハイドロキシルラジカルの反応などによって生成されることはすでに述べました。
最後の生成パターンは、普通の酸素分子が強い紫外線・X線・放射線などの照射時に、そのエネルギー的な反応から電子のバランスが変わります。その結果、活性酸素である一重項酸素となります。
一重項酸素に処理するための酵素はないため、αカロテン・βカロテン・ビタミンE・ビタミンC・ビタミンB2などが、有効なスカベンジャーとなります。